停電時の電源確保セット|スマホ・照明・扇風機を何時間動かすか
停電対策で重要なのは、「一番大きいポータブル電源を買う」ことではない。
停電対策で重要なのは、「一番大きいポータブル電源を買う」ことではない。
先に決めるのは、
- 何を残したいか
- その機器は何W使うか
- 何時間使いたいか
- USB給電だけで足りるか、AC100Vが必要か
の4点。
ここでは暑さ対策そのものではなく、停電時にどの機器へ何時間電力を残すかに絞る。
主役は電源容量と出力の設計。
Quick answer
先に結論
スマホ・USBライト程度
20,000mAh級モバイルバッテリー。
AC扇風機・Wi-Fi・ノートPCも残したい
300Wh前後の小型ポータブル電源。
複数機器を半日〜1日近く使いたい
700〜800Wh前後へ上げる。
家庭用エアコン・電子レンジ・IHを長時間
このクラスの記事で安易に「使える」と考えない。必要出力だけでなく、必要電力量が急激に大きくなる。
選び方
1. まずWとWhを分ける
停電用電源選びでは、W(ワット)とWh(ワットアワー)を別に見る。
W = 同時に動かせるか
例えば定格600Wのポータブル電源なら、基本的には接続機器の消費電力合計を600W以内へ収める。
ただしモーター・コンプレッサー等は起動時に大きな電力を使う場合があるため、製品側の起動電力も確認する。
Wh = 何時間もつか
概算は、
使用時間 ≒ バッテリー容量Wh × 0.85 ÷ 機器の消費電力W
で見る。
0.85はAC変換などの損失を見込んだ簡易係数。
実際には、
- インバーター効率
- 本体の待機電力
- 温度
- バッテリー劣化
- 機器側の消費電力変動
で短くなる。
特に数W程度の低負荷では、本体待機電力の影響が大きく、この単純式より短くなることがある。
選び方
2. 286Whと768Whで何時間違うか
以下はWh×0.85÷Wだけで計算した単純目安。メーカー保証値ではない。
| 機器の合計消費電力 | 286Wh | 768Wh |
|---|---|---|
| 10W | 約24.3時間 | 約65.3時間 |
| 30W | 約8.1時間 | 約21.8時間 |
| 60W | 約4.1時間 | 約10.9時間 |
| 100W | 約2.4時間 | 約6.5時間 |
例えば30Wの扇風機なら、286Wh級は「一晩の一部」、768Wh級なら「かなり長く残す」という違いが出る。
一方、500Wを使う家電なら、
- 286Wh → 単純計算約0.49時間
- 768Wh → 単純計算約1.31時間
まで急に短くなる。
高出力家電は「動くか」だけでなく「何分もつか」まで見る。
選び方
3. 最小:スマホとUSB機器だけ残す
ELECOM
DE-C77-20000BK
20,000mAh・最大67WのUSB-Cケーブル一体型モバイルバッテリー。
- 長所:20,000mAh
- 長所:USB PD最大67W
- 長所:一体型USB-Cケーブル
- 長所:残量1%表示
- 長所:USB-C / USB-A追加ポート
- 長所:PSE適合
- 長所:メーカー目安で3,000mAhスマートフォンを約3.9回充電
向いている人:スマホ、USBライト、モバイルルーター等だけ確保できればよい一人暮らし。
- 複数ポート同時使用時は合計最大15W
- ACコンセント機器は使えない
- 高温場所へ放置しない
- 停電前に満充電状態を確認
選び方
4. 標準:AC扇風機・ルーター・PCまで残す
EcoFlow
RIVER 3 Plus (Wireless)
286Wh・定格600W。
- 長所:286Wh
- 長所:定格600W
- 長所:X-Boost最大900W
- 長所:10ms未満の自動切替
- 長所:LiFePO4
- 長所:最大858Whへ拡張可能
- 長所:メーカー表記30dB以下
- 長所:AC扇風機
- 長所:Wi-Fiルーター
- 長所:ノートPC
- 長所:スマートフォン
- 長所:小型照明
- 長所:向く機器 - AC扇風機 - Wi-Fiルーター - ノートPC - スマートフォン - 小型照明
向いている人:スマホだけではなく、数十W級のAC機器を数時間残したい人。
- 600W動くことと、600Wを長時間使えることは別
- 500W負荷なら単純計算でも約29分
- 起動電力の大きい家電は別確認
- 家庭用エアコンの長時間バックアップには小さい
選び方
5. 容量重視:半日〜1日を厚くする
BLUETTI
AC70
768Wh・定格1000W。
- 長所:768Wh
- 長所:定格1000W
- 長所:LiFePO4
- 長所:USB-C 100W×2
- 長所:AC×2を含む7出力
- 長所:3000回以上の充放電後も80%容量というメーカー表記
- 長所:AC急速充電
向いている人:複数人の端末、扇風機、ルーター、PCなどをまとめて長時間残したい人。
- 「1000W出力できる」ことと「1000Wを長時間使える」ことは違う
- 500Wなら単純目安でも約1.3時間
- 電力リフト最大2000Wは抵抗負荷向けで、全機器に適用できる意味ではない
- 本体が大きくなるため保管場所も必要
選び方
6. どの容量を選ぶか
モバイルバッテリーで十分
残したいのが、
- スマホ
- USBライト
- イヤホン
- モバイルルーター
- USB小型機器
程度。
300Wh前後
- AC扇風機
- Wi-Fi
- ノートPC
- 複数スマホ
を数時間。
700〜800Wh前後
同じ機器を長く使う、または複数人で共有。
1000Wh以上へ進む前に
「何を何時間動かしたいか」を紙に書き、必要Whを計算する。
容量を増やすほど、
- 価格
- 重量
- 収納場所
- 点検対象
も増える。
選び方
7. 電源の優先順位を決める
停電時は、すべての機器を普段どおり使わない。
優先順位の一例は、
- スマートフォン
- 通信機器
- 必要な照明
- 季節上必要な送風・保温
- PC
- 娯楽機器
の順。
家庭ごとに変えてよい。
重要なのは、残量20%になってから考えるのではなく、停電直後から高負荷機器を切ること。
選び方
8. 照明は別電池へ逃がせる
スマホ・通信・扇風機をポータブル電源へ集めるなら、照明まで同じバッテリーへ載せなくてもよい。
乾電池式・コイン電池式ライトをすでに持っているなら、それを流用する。
Panasonic BF-AF15P
CR2032×2本で動くネックライト。
これは関連アイテム扱い。
すでに独立電池式ライトがあるなら買わない。
選び方
9. 家庭用エアコンは別問題
「ポータブル電源の定格出力がエアコンの消費電力より大きい」だけでは不十分。
エアコンは、
- 起動時
- 室温
- 外気温
- コンプレッサー運転
で消費電力が変わる。
さらに数百W〜1kW級を数時間使うと、必要Whが一気に増える。
例えば平均500Wで8時間なら、
500W × 8時間 = 4000Wh
変換損失まで考えると、それ以上の蓄電量が必要。
286Wh・768Whクラスとは桁が違う。
夏・冬の停電でエアコンが止まり、室温が危険になる場合は、ポータブル電源へ過信せず避難判断を優先する。
買わなくてよい物
ポータブル電源
USB機器しか使わないなら20,000mAh級で足りる可能性が高い。
700〜800Wh級
30W程度を数時間使うだけなら300Wh級で十分な場合がある。
ソーラーパネル
停電が短時間想定で、普段使わないなら必須ではない。
大容量電源を2台
用途計算なしで容量だけ増やさない。
家庭用エアコン用として300Wh級
長時間冷房を目的に買わない。
購入前チェック
- 残したい機器一覧
- 各機器の消費電力W
- 必要時間
- USBかACか
- 同時使用する最大W
- 起動電力
- 必要Wh
- 本体重量
- 収納場所
- 定期充電・点検方法
- リコール情報
まとめ
停電用電源は、容量ランキングで選ばない。
先に、
何を動かす
× 何W
× 何時間
を決める。
スマホ中心ならモバイルバッテリー。
AC扇風機やPCまでなら300Wh前後。
複数機器を長く残すなら700〜800Wh前後。
そして高出力家電は「動くか」だけでなく、その容量で何分動くのかまで計算する。
この考え方なら、防災という理由だけで過剰なポータブル電源を買うことを避けやすい。
関連アイテム
Panasonic LEDネックライト BF-AF15P
照明だけを独立電池へ分け、ポータブル電源を通信・送風へ残したい場合。
買わなくてよい人
すでに乾電池・コイン電池式の懐中電灯やランタンを持っている人。